法政大学大学院経営学研究科 法政ビジネススクール

専攻概要

特色

法政ビジネススクールにおける教育の特徴は、講義(Lecture)、ワークショップ(Workshop)、修士論文(Thesis)にあります。講義は、基礎から応用に至までの理論と実証に関する知識を習得するものです。ワークショップは、実務家によるプレゼンテーションに対する討論を交えた実際的なケーススタディです。修士論文は、文字通り修士号(MBA=Master of Business Administration)を取得するためのアカデミックな研究成果であります。そして、この3つが相互に有機的に関連し合い、法政ビジネスクールの教育と研究を支えています。

 MBA教育の柱

1.講義(Lecture)

法政ビジネススクールでは、米国型ビジネススクールにおいて標準的に設定される研究・教育分野をコースとして設置し、それぞれのコースがその分野の基本的内容の講義からより高度の応用的な講義まで幅広い講義を開講しています。さらに、コースには属さないものの、MBAを取得するにあたってコースに共通して修得することが望ましい科目群も配置されています。したがって、学生には広い選択の余地が与えられています。例えば、ある程度基礎的な知識があり、そのコースの内容について深く学ぼうとすると、そのコースに開講されている科目を基礎から応用まで系統だって履修することで可能となります。あるいは、コース共通科目や他コースの基礎的科目を履修して経営学全体の理解を高めながら、所属コースにおいて厳選した科目を履修し、当該分野の基礎的な知識から最先端の理論までを学ぶこともできます。

法政大学ビジネススクールによる講義形態は多彩です。ほとんどが一方的な講義ではなく、10名程度の少人数の受講者である特性を生かして、講義とクラス内でのディスカッションを組み合わせています。また、理論的な講義だけでなくそこに実証的なケース分析を交えて講義が組み立てられています。そこでは、学生は受動的な聴講者として講義に向かい合うのではなく、自分の実務体験を理論との関係で位置づけることも求められます。その意味で、学生は講義における能動的な参加者でもあります。そして、このような中で、教員も自らの理論をもって学生と向かい合い、学問的な対話を経て、より高い研究成果を生み出すことができるのです。

2.ワークショップ(Workshop)

法政ビジネススクールでは、コース毎にワークショップと呼ばれる科目を開講しています。ワークショップは研究会や講習会を意味する言葉ですが、ここでは毎週、異なる実務家あるいは研究者を外部講師として招き、その講演をもとにディスカッションを行うものです。このワークショップにおいて、学生は、生きた事例や注目を浴びている研究成果に触れ、当該分野のエキスパートに直接質疑することができます。通常、1つのワークショップで統一的なテーマが設定され、それを様々な切り口から分析するためにその分野で適任となる実務家あるいは研究者が招聘され講演を行うことになります。例えば、企業家養成コースでは、過去「市場の発見」「企業成長とビジネスモデル」「企業家の決断」「企業家のビジョン」などがワークショップのテーマに選ばれ、専門家・実務家が講演を行っています。

ワークショップは、1992年に法政ビジネススクールが設置されて以来、継続して開講されています。そのため、現在に至るまで非常に多くの企業から実務家を招いています。一部上場企業はもちろんのこと、ベンチャー企業やユニークな製品開発を行う中小企業まで多様な企業が取り上げられてきています。また、そこでは、これまでトップマネジメント、ミドルマネジメント、ベンチャービジネスオーナー、労働組合リーダーなど多彩なゲストスピーカーが、自社や自身の経験にもとづいた講演を行っています。聴講する大学院生は、外部からは知り得ない生きた素材を手がかりに、現実のビジネスを理解することが可能となります。

3.修士論文(Thesis)

法政ビジネススクールは、ビジネススクールでありながら修士論文を課しており、これは他のビジネスクールとの大きな違いになっています。修士論文において、学生は、指導教員のきめ細かい指導の下で、問題意識に沿ったテーマについて主要な学術成果を学び、フィールド研究、データ収集、データ解析等を行って論考を深めます。修士論文は、企業で普段書いているレポートや簡単なリサーチペーパーとは異なります。それは純然としたアカデミックな論文であり、過去の研究成果をくみ上げながらそこに新たな知見を付け加えようとするものです。法政ビジネススクールの修士論文の水準は高く、少なからぬ修士論文が学会で報告されたり、学術雑誌に掲載されたり、論文集として出版されてきています。

修士論文は、指導教員との議論の中で2年次に1年間をかけて書き上げられて行きます。そのおおよその流れは以下のようなものです。まず、1年次の2月頃までには各コースにおいて学生の執筆テーマにふさわしい指導教員が決定され、その下で論文のプロポーザル(執筆計画)が練り上げられます。そして、4月頃までに、コースに所属する教員と大学院生が集まった前でこのプロポーザルを発表し、意見交換を行います。次に、このプロポーザルの発表で指摘された点を修正しつつ執筆に関わるデータの収集と分析が9月頃まで続きます。9月頃までに各コースは修士論文の中間報告報会を1~2回開催し、コースに所属する教員と大学院生のコメントを受けます。そして、11初旬に修士論文タイトルの予備登録を行い、執筆を始めます。修士論文の提出は正月明け早々に行われ、1月末の面接試験を経て、3月末に晴れて修士号(MBA)を取得することになります。仕事を続けながらの修士論文の執筆は、孤独で苦しい作業です。しかし、この過程を経てこそ日々の職場の経験を経営学の理論や概念を通じ客観的に分析・昇華できるようになるのです。修士論文を書き上げて修了していった大学院生は、誰もがこの修士論文の執筆こそ法政ビジネススクールで学ぶ醍醐味であると語っています。

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