法政大学大学院経営学研究科 法政ビジネススクール

専攻概要

学びの門の前に立つ皆さんへ


法政大学大学院
経営学研究科長
小川 憲彦

学びの門の前に立つ皆さんへ

経営大学院での学びを検討している皆さんは今、どこで学ぶべきか戸惑っているかもしれません。日本に限らず、いわゆるMBAを輩出するビジネススクールのカリキュラムは、驚くほど似通っているからです。

組織行動、HR、マーケティング、物流、生産、会計、ファイナンス、統計、情報技術、そして戦略や国際関係科目。これらを網羅していないビジネススクールは探すほうが難しいでしょう。HBS(法政ビジネススクール)もご多分にもれず、これらを含む80以上の専門科目が用意されています。

ビジネススクールは一般に、ハーバードに代表されるケース重視型と、カーネギー・メロンやスタンフォードに代表される研究重視型に大別されます。しかし一方、どこのスクールでも、個々の授業特性や学習目標に合わせ様々な教授法が用いられています。HBSは研究を重視する後者に属しますが、ケース、レクチャー、ワークショップ、演習など様々な学習形態が取り入れられている点では変わりません。学部のように偏差値があるわけではありませんから、どこで学べばよいのか頭を悩ませるのは仕方がないことでしょう。

日本の私立大学で最も早く、1992年4月から社会人向け夜間大学院を開設して以降、HBSは少人数教育を積み重ねながら、経営者、管理者、起業家、会計士、各種専門スタッフ、あるいは大学で教鞭をとる者まで、既に1000名近い修了生を送り出してきました。こうした過去の実績は信頼の目安にはなりますが、一層重要なのは、今とこれからを生きる皆さんにとっての意味です。

 

最前線に立つ実務家こそ

そもそも、なぜビジネススクールで学ぼうとするのでしょう。一つは言うまでもなく、自身の仕事に関する見識を高めるためだと思います。言い換えれば、物事の本質を捉える力や判断力を養い、これからのキャリアに生かすためでしょう。

HBSの特徴の一つは、各々の志向・フィールドに沿って深く学べる点です。具体的には、企業家養成、国際経営、人材・組織マネジメント、マーケティング、アカウンティング・ファイナンスの5つのコースに分かれることで、各領域について多角的に学ぶことが可能です。例えば、私の所属する人材・組織マネジメント・コースではヒトの管理や組織の問題を扱いますが、社会学、心理学、経済学などの異なるバックグラウンドを持った8名の教員が様々な角度からアプローチしています。他のコースも同様に、各領域を専門としながらも多様な背景を持つ専任教員が各々6~12名配置されています。一つ一つの領域にこれだけ多く多様な教員を配置しているスクールはあまりないはずです。コースを超えた分野横断的な履修も可能ですが、個々の関心に沿った深い学びが可能です。

経験の浅い若者に対し網羅的な教育を行うことで、若きゼネラル・マネジャー候補を育成するアメリカ型のビジネススクールに対し、HBSが対象とするのは、むしろ相応の経験を持った現役の管理者であり実務家です。最前線で活躍し、現場に根付いた問題意識を持ちながら、さらなる改善を主導しようとする管理者や専門職者を歓迎します。

 

前に進むために一歩引いてみる

ビジネススクールで学ぶもう一つの意味は、真の経験を得るためだと言えるかもしれません。知っているはずのことを学び直すためです。

社会人院生が求めるものの一つに「意味」があります。経験はある。しかし、その意味がうまく説明できない。経験が消化されないまま、通り過ぎていくように感じる。自分の中で整理・統合ができていない。多様な、あるいは体系だったモノの見方から経験を捉え直したい。経験を腹落ちさせたい。自分の中にうまく根付かせ、指針として、あるいは資産として、もっと活用したい。そういう声です。

真の経験を得るためには内省が必要です。内省とは、経験を振り返り、そこに意味を与える行為です。目の前を流れる膨大な経験を、現場から一歩引くことで俯瞰し、客観視し、その意味をじっくりと考える。そうすることで初めて、経験から学ぶことが出来ます。ビジネスマンは文字通りせっかちですから、振り返りなど好まないかもしれません。しかし、高く飛ぶためには一度しゃがむ必要があります。

この時に大切なことは、自分自身で考える、ということです。意味は教えてもらうものではありません。だからこそ、HBSでは自分ならではの経験に根差したテーマを対象とした研究に自分自身で取り組むのです。自身のテーマと多様な考え方とを照らし合わせることで、これまでとは異なる新たな視点、新しい意味によって経験を捉え直すことが出来ます。大学院では多くのインプットも行われますが、理論や概念は自身の経験と結びついて初めて生きるものです。それを助けてくれるのが研究活動です。

ケースを否定するものではありませんが、突き詰めて考えるべき題材は、既に皆さんの中にあります。無数のケースに答えを出しても、自身が抱える問題に向き合わない限り、本当の経験は得られないでしょう。研究を通じて自らの経験を一歩引いて考えてみる。そこから得た学びによって、次なる道へと踏み出していく。それこそが社会人の学ぶ意味ではないでしょうか。

 小川 憲彦(法政大学大学院 経営学研究科長)

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