
法政大学大学院
経営学研究科長
安藤 直紀
法政大学大学院経営学研究科、法政ビジネススクールは、1992年の設立当初からこれまでに1000名近くのMBAホルダーを輩出してきました。そして、これらの卒業生は経済界にとどまらず、行政、医療、教育機関など多方面で活躍しています。
当研究科、法政ビジネススクールでは、統合的にマネジメントを学ぶ場が提供されています。社会人を対象とする夜間の修士課程は、高度職業人の養成を目指し設立された1992年当初から、長年にわたる教員と院生とのやり取りを通じて効果的な教育方法を模索し続け、学びを促進するための経験知を積み上げつつ現在に至っています。全日制の昼間修士課程では、設立当初から研究者養成を主眼とし、経営学の専門知識や学術的アプローチへの理解を深める場となっています。昼間修士課程は、近年、多くの留学生を受け入れています。
当研究科、法政ビジネススクールには、学部で経営学以外を専攻していた院生も少なからず所属しています。教員の多岐にわたる専門領域と学部教育での経験を活かした丁寧な少人数制の講義は、院生が専門領域での理論や概念を深く学ぶことを促進しています。このような学びは、現場での体験と結びつくことで一層効果を増します。現場との統合的視点を得る上で、経営の最前線に立つゲストスピーカーを招いたワークショップでの活発な議論は大変好評です。さらに個別演習では、自律的学習を促進する対話型の英国式チュートリアルシステムを取り入れ、院生全員が修士論文やリサーチペーパーの完成に向け研究に邁進しています。研究の面白さに気づき、働きながら博士号取得を目指す院生も多数所属しています。博士課程での研究は孤独な作業となりがちですが、当研究科では正・副指導教員による複数指導体制を取り、研究科全体での研究発表会が毎年2回開催されるなど、研究促進のための支援も整っています。
職場での実践に直結するテクニックを早く習得したいので、悠長に研究に取り組んでいる暇などないと思っている方がいらっしゃるかもしれません。確かに、社会人院生は多忙を極めます。しかし、研究こそが、理論と現実を結びつけ、これまでとは異なる現実の記述を可能とし、新たな視座を得る上で最も有効だと言えます。最初は皆これまでの見方に囚われ、研究テーマや研究のための問いの立て方に四苦八苦します。しかし、自らも研究者である教員との対話を通じて、探求するに値する問いの立て方やその問いに対する答えの見出し方について学習が進みます。このような研究アプローチの修得は、日々の実践を分析的視点で捉え、異なる意味を見出し、改善をもたらすことに大いに役立つはずです。
ビジネス環境は今、急速に変化しています。グローバライゼーションの進展やICTの高度化、新興国企業の台頭など、企業がおかれている環境は、変化し、複雑化しています。不確実性の高いビジネス環境の中で、理論を身につけ、実践し、新しい見方を創出していくことが求められています。当研究科、法政ビジネススクールには、そのような要求を満たすための学びの場が用意されています。学びの場に参加しようという方々を教員一同歓迎いたします。
法政大学大学院経営学研究科
研究科長 安藤直紀